2016/6/20
感染委員会より
入所介護部の浦部です。
今回はフェリーチェ吹田に入職した初日のことを書きたいと思います。
フェリーチェ吹田は平成18年12月1日にオープンしました。僕が入職したのは翌年の3月頃でした。
お昼頃までオリエンテーションを受け、午後から配属フロアに出ました。
まずフロアに入ってびっくりしたのは「自分で歩ける」「自分で車イスを漕げる」「普通にお話しができる」方が沢山いたことです。
その前に働いていた病院では病状が重く、寝たきりの方ばかりだったので、病院や施設を利用しているお年寄りは皆さんそのような方ばかりだと思っていました。
まず病院では患者様から「話しかけられる」ことがあまりなかったので、利用者様から「話しかけられた」時はどう返せばよいのかあわあわしました。
「兄ちゃん、初めて見る顔やな。あれか、新人さんか?」と声をかけられた時は、「僕はここでやっていけるのだろうか」と不安になりました。
変な話ですが、オムツ交換や入浴介助、移乗介助など「介助」については一通り経験・実践していましたが、「コミュニケーション」については経験が浅い状態でした。
不安を感じながら、利用者様の情報収集をしていると、
「さっきから何ちらちら見とんねん!!文句があるならはっきり言えや!!」
と、大きな声がリビングからしました。
リビングを見ると、1人のおばあさんが立ち上がり、斜め向かいに座っているおばあさんを睨んでいます。
何事かと思っていると、ものすごい速さで押し車を押しながらその方へ向かっていきます。
そのおばあさんの勢いが凄かったので、これは危険だと思い、
「僕が話しを聞かせてもらいますんで、一旦、お部屋に戻りましょう」
と、間に入りました。
ただ初日でその方のお部屋がまだどこか分からず、逆に案内されるという始末でしたが。
お部屋に戻る頃にはすでにトーンダウンされていて、「兄ちゃんありがとうな。ちょっと休むわ」と横になられました。
このやりとりを見て、今まで教わってきた「お年寄りは人生の先輩であり、尊い存在である」という、お年寄りは誰もが「出来た人間」というか、聖人のような捉え方(僕の主観ですが)がガラガラと崩れ落ちました。
歳を取ってもちょっとした事で怒るし、嫉妬することもあるし、悪口を言うこともあれば、笑いあう。
当たり前のことですが、同じ人間なんだなぁと痛感しました。
別の機会ではお年寄りならではの懐の深さみたいなものを感じました。
ボランティアの方々に来て頂いて、日本舞踊や大正琴の演奏など様々な行事をします。
「うまいな~」「綺麗やわ~」と拍手されたり、「また来てね」とボランティアの方と握手をされます。
終わって帰られた後、お茶を飲みながら利用者様同士で、「今日のはもう一つやったな」「あれは下手くそやったな~」と話されています。
「良いお客さん」を演じられているんですね。
「これはなかなか一筋縄ではいかんな」と入職して、日を追うごとに実感していくのでした。