2023/5/22
通所リハ★作業レク
こんにちは。菜乃花リハビリテーション部門ブログ担当です。
前回は肺炎と生活の関連について少し紹介しました。
前回はこちらから
― 病気ではなく「生き方」が影響する ―
はじめに
肺炎は高齢者に多い病気ですが、
実はもう一つ、はっきりした傾向があります。
それは、
肺炎は女性よりも男性に多い
ということです。
「体が弱いから」「男性のほうが年を取りやすいから」
──そうではありません。
この差の背景には、
長い時間をかけて形づくられてきた生活習慣や生き方が関係しています。
男性に肺炎が多い理由は「体」だけではない
統計的に見ると、肺炎は男性に多く、重症化もしやすいとされています。
しかしその理由は、単純な体の違いではありません。
多くの場合、次のような要素が重なっています。
・喫煙歴がある人が多い
・呼吸機能に長年の負担がかかっている
・口腔ケアが後回しになりやすい
・体調不良を我慢しがち
・人に頼ることが少ない
これらは「男性だから」ではなく、
これまでどのような生活を送ってきたかの結果として表れます。
喫煙と呼吸の話

男性に肺炎が多い背景として、
まず挙げられるのが喫煙歴です。
長年の喫煙は、
・気道の防御機能を弱める
・痰を外に出す力を落とす
・咳反射を鈍くする
といった影響を与えます。
その結果、
菌や異物が肺に入りやすく、
出にくい状態がつくられてしまいます。
これは、年を取ってから突然起きるのではなく、
何十年もかけて積み重なった結果です。
口腔ケアが後回しになりやすい現実

もう一つ重要なのが、口腔環境です。
一般的に、男性は女性に比べて
・歯科受診の頻度が少ない
・口腔ケアへの意識が低くなりやすい
と言われています。
口の中には多くの細菌が存在します。
この細菌が唾液や食べ物と一緒に、
気づかないうちに気道へ入り込むことで、
肺炎のリスクは高まります。
口腔ケアは見た目の問題ではなく、
肺を守るための大切なケアなのです。
「我慢する」ことがリスクになる
男性の多くは、
「これくらい大丈夫」
「まだ動ける」
と体調の変化を我慢しがちです。
・食事量が減っている
・動くのが億劫になっている
・息切れが増えている
こうした変化があっても、
周囲に伝えず、支援につながらないまま
過ごしてしまうことがあります。
結果として、
体力・呼吸・嚥下の低下が静かに進行し、
肺炎という形で表に出てくるのです。
独居・役割喪失と肺炎リスク
高齢男性では、
配偶者との死別や独居をきっかけに、
生活リズムが大きく変わることも少なくありません。
・食事が簡素になる
・口腔ケアがおろそかになる
・会話が減る
・外出や活動が減る
こうした変化は、
呼吸や嚥下、全身の活力を低下させる要因になります。
肺炎は、
社会的なつながりが弱くなったときに
起こりやすくなる病気でもあるのです。
老健で見えてくる「男性の肺炎リスク」
老健で男性利用者の方を見ていると、
肺炎の背景には次のような特徴が重なっていることが多くあります。
・姿勢が崩れやすい
・呼吸が浅い
・食事中の集中が続きにくい
・口腔ケアが十分に行われていない
これらは決して本人の努力不足ではありません。
生活環境と支援の不足が生み出した結果です。
だからこそ老健では、
医療的な視点だけでなく、
生活全体を整える支援が重要になります。
まとめ
肺炎が男性に多い理由は、
「男性だから」ではありません。
・喫煙
・口腔ケア
・我慢する習慣
・社会的つながり
・活動量の低下
こうした生活の積み重ねが、
肺炎という形で表に出てきます。
肺炎を防ぐために必要なのは、
薬だけではなく、
生活を整え、支え合うことです。
次回は、
「誤嚥=むせること、ではありません」
というテーマで、
気づかれにくい誤嚥と肺炎の関係についてお話しします。
今回の内容は
一般社団法人日本呼吸学会
啓発冊子「ストップ!肺炎」を参考にしています。