2023/9/20
柿
入所介護部の浦部です。
僕の家の近所に美味しいラーメン屋さんがあって、ちょこちょこ行くんですが、ここは麺の固さを選べます。
いくつかの段階に分かれているんですが、まず「ふつう」から始まり、ここから段々ハードになっていきます。
「ふつう」の一つ上が
「かためん」
となります。これは分かりやすいですね。「固い麺」ということでしょう。
この次が
「バリカタ」
となります。関西圏の方はピンとくる言葉ではないでしょうか。
「バリねむい」「バリむずい」と「バリ」を使うことや聞いたことがある方は多いんではないでしょうか。
問題はこの次なんですね。「バリカタ」の上が
「ハリガネ」
です。
もう「麺」ではなくなりました。
「ハリガネ」ですからね。金属ですよ。どんだけ固いんだという話しになります。
ただ恐ろしいことに「ハリガネ」より上の段階があるんですね。これが
「粉落とし」
というものになります。
説明書きに「粉を落としただけの、ほぼ生麺」とあります。
これはこれで
「ラーメンとはちょっと違う食べ物になっているのではないか」
と思いました。麺を茹でてないですからね。
さすがに「粉落とし」を頼む人はいないだろうと思ってたんですが、この間隣の席に座った方が座るやいなや、極々自然に「とんこつ、粉落としで」と注文していました。
「人の好みは色々やなぁ」と思いました。
勿論、ご利用者様においても「食に対する嗜好」はあります。
「薄味が好きな方」「濃い味付けが好きな方」「魚が好き・嫌い」「肉が好き・嫌い」 etc..
特に悩まされるのが「お肉の固さ」です。
やはり、お年を召されることでお肉に限らず、「固い食べ物は苦手」という方は多くいらっしゃいます。
「お肉が固くて食べれなかった」という方に対し、
「酵素に浸け置きする」
「調理法を工夫をする」
「提供するまでの間で固くならないように工夫する」
など、様々なアプローチを栄養士、厨房の職員の皆様が行ってくれています。
工夫を加え、以前より柔らかくなったお肉を試食させてもらった時は本当に驚きました。
ただ、それでも「お肉が固い」とおっしゃられる方はいます(少数ですが)。
そして、その意見を受けてさらに改善できないかを検討・実施します。
中には「お肉=固い」というイメージが強く、そもそも食べない方もいます。
同じ席で「今日のお肉、固くて食べれないわ」とおっしゃる方に同調されて「やっぱり?私も固くて食べにくいわ」と残される方もいます。
なかなかご利用者様みなさんに「柔らかくて美味しい」「食べやすい」と感じて頂くことは難しいです。
「嗜好」というものがある以上、ある程度までいくと、そこから先はその方の感じ方にしかならず、こちらがどうのこうのという問題ではなくなるのかなと感じることもあります。
僕は脂身の少ない赤身の肉が好きです。
ある程度固くて、歯ごたえ・弾力があり、何回も噛んでやっと飲み込めるくらいのお肉が好きです。
その固さに「今、肉食べてるわ~」「やっぱり肉は美味しいわ~」と満足感や旨みを感じます。
ご利用者様のニーズに応えることは勿論大切ですが、全てのニーズに100%応えることはとても難しいことです。
というかそれは「思い上がり」もような気がします。
肉の固さについても、
「固い肉は固い肉で美味しい」
「ていうか、そもそもお肉って固いもんじゃないの?」
「固い食材はその『固さ』も美味しさの一つの要素じゃないの」
という感覚も忘れてはいけないと思ったりするのです。