2021/9/1
誕生日
こんにちは、菜乃花リハビリテーション部門ブログ担当です。
前回は「困った行動。困っているのは誰でしょう?」という題名でBPSDについてお話ししました
前回はこちらから
今回は「相談窓口」について少しお話します。
① 一人で抱え込まない。「つながる」ことの大切さ
認知症の方と関わる中で、
「これって普通のこと?」「どうしたらいいかわからない…」と感じたことはありませんか?
ご家族や周囲の方も、答えのない問いに向き合うことが多く、
気づけば、自分自身が疲れ果てていたり、孤独を感じていたりすることもあります。
誰かに「つながる」ことは、決して恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。
悩んだ時には、声を上げてみてください。
そこには、あなたを支えるための手が、きっとあります。
② どこに相談できる?
認知症に関する悩みや不安を抱えたとき、頼れる場所は一つではありません。
相談内容やタイミングによって、役立つ窓口はさまざまです。
■ 医師・かかりつけ医
・最近の様子の変化について、医学的な視点から見立ててもらえる
・認知症の診断や、薬の調整、他の疾患が影響していないかの確認
・必要があれば専門機関(認知症疾患医療センターなど)への紹介も可能
「こんなこと、病院で聞いてもいいのかな?」と思わず、気軽に一言相談してみましょう。
■ 地域包括支援センター
地域で暮らす高齢者の総合的な支援窓口です。
・介護や福祉に関する情報提供・助言
・本人だけでなく、家族の相談も対応可能
・必要に応じて、ケアマネージャーやサービス事業所との連携を図る
・状況に応じた支援制度の紹介や、申請手続きのサポートも
「どこに相談すればいいか分からない」その段階でもOKです。最初の相談先として、とても心強い存在です。
東淀川区地域包括支援センターホームページより
https://www.hohoemi-kushakyo.or.jp/koureisya-shien
■ ケアマネージャー(介護支援専門員)
要介護認定を受けた方には、ケアマネージャーがつきます。
・日々の生活に合わせた支援計画(ケアプラン)を一緒に考える
・デイサービスや訪問介護など、具体的なサービスの提案・手配
・利用者やご家族との面談を通じ、状況に応じた柔軟な対応をしてくれる
身近な相談相手として、**「生活の調整役」**として大きな役割を担ってくれます。
■ 利用施設スタッフ(認知症ケア専門士など)
施設をご利用中の方は、そこにいるスタッフが心強い味方です。
・日々の様子を見ているからこそできる細やかな助言
・ご家族の不安にも丁寧に耳を傾け、状況に応じた説明が可能
・認知症ケア専門士など、専門知識をもつスタッフも在籍しています
「こんな小さなこと聞いていいのかな…?」と思うようなことでも、ぜひ声をかけてください。
③ 相談は “選択肢を増やす”こと
「迷惑じゃないかな?」「大げさに思われないかな?」
そう思って、つい相談をためらってしまう方も少なくありません。
ですが、悩みを口にすることは、決して“迷惑”ではありません。
むしろそれは、より良いケアにつながる**“選択肢を増やす行動”**です。
〇相談することで見えてくること
・自分では気づかなかった視点からのアドバイスがもらえる
・状況を共有することで、「わかってもらえた」という安心感が生まれる
・家族だけで抱えていた不安を、周囲の専門職と分かち合うことができる
一言「実はちょっと…」と伝えるだけで、支援の糸口が見つかるかもしれません。
〇こんなことでも相談していい?
・「薬、ちゃんと飲めてるか不安」
・「同じ話ばかりで、どう対応すればいいのか…」
・「施設利用を考えた方がいいのか迷っている」
もちろんです。どれも立派な“相談”です。
些細に見えることでも、積み重なればご本人もご家族も疲弊してしまいます。
④ 支える人も、支えられていい
認知症のあるご本人を想い、日々関わっているご家族や支援者の皆さん。
その気持ちはとても尊く、大きなエネルギーを使うものです。
ですが──
「支える側」も、疲れてしまうことがあります。
・思うように伝わらない
・繰り返す行動に苛立ってしまう
・正解のない対応に、不安や自責の念を抱いてしまう…
そんな気持ちになったときは、あなた自身が支えられる番です。
〇「自分も助けを借りていいんだ」と思えること
支援する立場の人が、相談をすること、誰かに頼ることは、
**ご本人を想うからこその“選択”**です。
周囲の人や専門職に少しだけ気持ちを預けることで、
気持ちに余裕が生まれ、結果としてより良い関わりにもつながります。
〇ひとりで抱えないこと、それが長く続けるコツ
認知症ケアに「完璧」な対応はありません。
その日その時の関わり方で、また明日を迎える。
その積み重ねが、その人らしい暮らしにつながっていきます。
無理をせず、心がすり減る前に、どうか周りに助けを求めてください。
その一歩が、ご本人にも、そしてあなた自身にも、やさしい明日を連れてきてくれるかもしれません。
次回は第7回として「認知症初期集中支援チームとは?」を予定しています。
例として認知症かも?と相談した後のお話として早めに動いてくれる支援チームをご紹介します。