2024/5/7
端午の節句
こんにちは。菜乃花リハビリテーション部門ブログ担当です。
前回は介護保険のお話を全5回に分けてさせていただきました。
今回から再びお話の内容が変わりまして
「車椅子」について少し知って頂きたい。
という思いで紹介・説明をさせていただきます。
車椅子というと、
「足が弱ってきたから乗るもの」
「移動のための道具」
そんなイメージを持たれる方が多いかもしれません。
でも、私たちリハビリテーションの視点から見る車椅子は、
もっと大切で、もっと生活に深く関わる存在です。
それは、
“一日の姿勢をつくる”大きな家具であり、
“暮らしを支える環境そのもの”
だからです。
1. 車椅子は「移動手段」だけじゃない
私たちが支援している高齢者の生活の多くは、
「座位」を基盤に成り立っています。
・食事をとる
・テレビを見る
・友人と話す
・リハビリを受ける
・家族と過ごす
これらの活動のほとんどは、座った姿勢から始まります。
つまり、
“どう座るか”は、“どう生きるか”にかなりの部分で関わる。
車椅子は、日々の生活の質を左右する重要な「生活の器」なのです。
2. 正しく座れるかどうかで、体は大きく変わる
車椅子に「なんとなく」座っていると、
こんな変化が起こりやすくなります。
・背中が丸くなる(仙骨座り)
・呼吸が浅くなる
・食事が飲み込みにくくなる
・疲れやすくなる
・身体が左右にずれる
・体幹の傾きで痛みが出やすくなる
これらは本人の「姿勢が悪いから」ではありません。
車椅子が身体に“合っていない”ことが原因で起こります。

3. 車椅子は「家具」であり「環境」である
本来、車椅子は
ベッド、椅子、机、クッション
と同じように、一日の姿勢を支える“生活空間”です。
・座る
・リラックスする
・活動する
・食事をする
・家族と面会する
これらの時間を、
“心地よく過ごせる環境かどうか”
がとても大切です。
介護の現場では、車椅子に座っている時間が1〜4時間、
長い方だと8時間を超える場合もあります。
つまり、
「合っていない家具」に長時間座ると、身体は確実に壊れていく。
逆に、
身体に合った車椅子は生活を整え、意欲を取り戻す力がある。
4. 老健リハが重視する「座る姿勢」
老健のリハビリテーションでは、
歩く訓練・立ち上がりの訓練と同じくらい、
“座る姿勢の評価と調整”を大切にしています。
その理由はシンプルです。
・食事が安全にできる
・活動量が増える
・会話が増える
・呼吸が落ち着く
・眠りが深くなる
・痛みが減る
姿勢は、身体だけでなく意欲や感情にまで影響を与えます。
5. これからの車椅子シリーズでは
本シリーズでは、次のテーマを順に扱っていきます。
・合わない車椅子はなぜ身体を壊すのか
・車椅子の選び方(誰が・どこで・何のために)
・クッション・背張り・足台調整のポイント
・リハビリテーション場面での車椅子支援の実際
テクノエイド協会のフィッティングマニュアルでは、
車椅子適合の原則として
「身体 × 環境 × 目的」の最適化
が強調されています。

私たちはこの考え方を、
利用者やご家族にもわかりやすく翻訳し、
老健での“安心して座れる暮らし”につなげたいと考えています。
まとめ
車椅子は“乗り物”ではなく、
その人の生活を包む「環境の一部」です。
合わない車椅子は身体を苦しめますが、
合う車椅子は生活を支え、意欲を引き出し、
生き生きとした時間を取り戻します。
老健リハビリテーション部門として、
これからも利用者の“座る・過ごす・動く”を支え、
その人らしい生活が続くように取り組んでいきます。
今回の内容は
公益財団法人テクノエイド協会 HPhttps://www.techno-aids.or.jp/
を参考にしています