2025.12.25

リハビリ部門からの啓発-車椅子-第4回「調整で“座り心地”は変化する」

老健 菜乃花 

こんにちは。菜乃花リハビリテーション部門ブログ担当です。

 

前回は「正しい車椅子の選び方

というお話で合わない車椅子の選び方のお話をさせていただきました。

 

前回はこちらから

https://www.ontoku.or.jp/blog/%e3%83%aa%e3%83%8f%e3%83%93%e3%83%aa%e9%83%a8%e9%96%80%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%ae%e5%95%93%e7%99%ba-%e8%bb%8a%e6%a4%85%e5%ad%90-%e7%ac%ac3%e5%9b%9e%e3%80%8c%e6%ad%a3%e3%81%97%e3%81%84%e8%bb%8a/


— 「合わない」の正体は、ほんの数センチかもしれない —

 

「この車椅子、合っていない気がする」
「座っていると落ち着かない」
「長く座ると疲れてしまう」

そう感じたとき、
「もうこの車椅子は合わないんだ」と思われがちです。

 

でも実は、
車椅子そのものが悪いのではなく、
“調整されていないだけ”

というケースがとても多くあります。

 

今回は、
車椅子の中でも特に影響が大きい
クッション・背張り・足台
この3つの調整ポイントについてお話しした上で

ほんとに少しの調整で姿勢が変化するという一例を

ご覧いただきます。


1. クッションは「敷き物」ではない

クッションというと、
「お尻が痛くならないためのもの」
というイメージが強いかもしれません。

 

しかし、クッションの役割はそれだけではありません。

→クッションの本当の役割

・座骨を安定させる

・骨盤の傾きを整える

・身体の左右差を吸収する

・長時間座位の疲労を減らす

つまり、
クッションは“座る姿勢の土台”です。

柔らかすぎると沈み込み、
硬すぎると痛みが出る。
合わないクッションは、
無意識のうちに姿勢崩れを引き起こします。


2. 背張り調整で、背中は変わる

背張り(背もたれの張り具合)は、
見落とされがちですが、姿勢への影響は絶大です。

 

▼背張りが合っていないと…

・背中が丸くなる

・肩が前に出る

・頭が下がる

・呼吸が浅くなる

▼逆に、背張りを調整すると、

・背中が自然に支えられる

・胸が開きやすくなる

・視線が上がる

・会話や食事が楽になる

ほんの少しベルトを締め直すだけで、
「え、こんなに違うの?」
という変化が出ることも珍しくありません。


3. 足台(フットサポート)が姿勢を決める

足は「地面との接点」。
車椅子でも同じで、
足の位置は姿勢全体を左右します。

▼足台が合わないと…

・足が宙に浮く

・膝が高すぎる / 低すぎる

・足が左右に開く

これが起こると、
骨盤 → 背中 → 頭
という順に姿勢が崩れていきます。

→正しい足台の基本

・足裏がしっかり接地

・膝は股関節とほぼ同じ高さ

・左右差が少ない

足が安定すると、
自然と骨盤が立ち、
背中も起きやすくなります。


4. 「座りたがらない」のは、意欲の問題じゃない

「車椅子に座りたがらない」
「すぐベッドに戻りたがる」

こうした場面で、
「やる気がない」「甘えている」
と捉えられてしまうことがあります。

でも多くの場合、
身体が不快・不安定・痛い
それだけなのです。

 

・クッションが合わない

・背中が支えられていない

・足が落ち着かない

この状態で
「座りなさい」と言われても、
身体は正直に拒否します。

“座りたくない”は、
身体からの大切なサインです。


5. 調整の実際

まずは車椅子に乗車している状態を見てみましょう

正面からみた状態です

右肩が前に出て、左側へと体が倒れており、

右足が左足へと寄り掛かった姿勢になっていますね。

もう一方向からも確認してみましょう

分かりづらいかもしれませんが、

身体は後方へともたれかかるような姿勢を取り

太ももから膝は右上方へと上がるような姿勢になっています。


ではここで普通の椅子に座った場合の姿勢も確認してみましょう

多少左側に傾く様子は見受けられますが

・身体が捻じれたり(右肩が前に出る)

・お尻が前に出ていたり

・膝が浮き上がっていたり

という様子はありません。

つまり車椅子という環境のせいで

先ほどの写真のような姿勢になっていると

推測できるわけです。

 

ではどのように修正するか

実際にやってみましょう。


今回はこのブランケットをお尻の下に敷いて調整をしてみます。

 

敷いてみたのですが、良く見れば左の臀部が乗る場所は

右臀部に比べて少し厚めにしてあるのが分かると思います。

 

では座ってみてもらいましょう

どうでしょうか?たった一枚のブランケットで

・体の傾きと捻じれは修正され、垂直に

・臀部の位置は背もたれの近くに

・太ももの向きは床と水平に

なりました。

 

あとはこのブランケットと似たような

条件のクッションを使用することになりますが

クッションにも性能があります。

以前のブログでもあったように

「どこで、どのように」使うかによって

種類を決定していく流れになります。


まとめ

車椅子の調整は、
専門的で難しいものに見えるかもしれません。

 

でも実際には、
ほんの数センチ、ほんの数分の調整
生活が大きく変わることがあります。

 

・クッション

・背張り

・足台

この3つは、
「今すぐ見直せる生活の土台」。

 

老健リハビリテーション部門として、
これからも
“安心して座れる時間”を増やす支援
を続けていきます。

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