2017.02.15

病院で働いていた時のこと

フェリーチェ 入所/ショート その他 

入所介護部の浦部です。

 

 

僕が介護の仕事を始めたのは病院での「看護助手」からでした。

 

その頃はまだ男性で介護の仕事に就く方は少ない時でした。

 

 

僕が入職した病院も「男性の看護助手」というのはとても珍しかったらしく、男子ロッカーすらありませんでした。

 

入職初日に、「とりあえずあそこでこの制服に着替えてきて」と言われ、指されたのは廊下の隅にむき出しで置いてあるロッカーでした。

 

廊下に置いているだけなので、勿論、丸見えです。

 

 

「男だから見られても構わんてことやろうけど、見せられる方はたまったもんじゃないな」と秒速の速さで着替えるのでした。

 

 

僕が配属されたのは療養病棟でした。それまで産婦人科だった病棟をそのまま療養病棟にしたようで、今思えば設備には沢山の不備がありました。

 

 

この病棟の師長が看護師としての知識や技術は勿論、人間的にとても魅力のある方で、本当に多くのことを学ばせてもらいました。

 

 

この療養病棟は38名で満床なのですが、38名の内、車椅子を自走できるのはお1人だけでした。

 

このおじいさんは普段、仕方なく尿器を使って排尿を済ませています。

 

勿論トイレは病棟にあるのですが、入口が狭くて車椅子ではトイレの中に入れません。

 

この不便さに、おじいさんがキレることもしばしばありました。

 

「この病院はどないなっとるんや!!」と、僕はよく怒られました。

 

僕は謝ることしかできず、「申し訳ないな」という気持ちと「でも仕方ないよな」という気持ちを行ったり来たりしていました。

 

 

ある夜勤の時です。

 

その時は師長と僕の組み合わせでの夜勤でした。

 

 

23時頃、患者様も皆さん落ち着いておられ、ちょっと一息と詰所で休憩をしていました。

 

すると、師長が

 

 

「浦部君、トイレの壁、壊そか」

 

 

と、さらっと言ってきました。

 

「はぁ・・」

 

「いや、ちょっと広くしたらあのおじいさんトイレに入れるじゃろ」

 

「まあ幸い建物も古くてボロイから、『壊れた』ということにしてやな」

 

「さすがにバレるんちゃいます?」

 

「まあ、車椅子が当たったら壁が崩れたということにしようで。な!」

 

 

何が「な!」なのかよく分りませんが、その夜、本当に入口の壁を2人で崩しました。

 

 

翌朝、師長が営繕の方に「トイレの入り口のドアが壊れたんです。見に来てください」と連絡しました。

 

 

営繕の方から

 

「何をどうしたらこんなことになるんや」

 

「何かしたん?」

 

「ていうか壊したんやろ」

 

と言われましたが、師長は「いや~車椅子がぶつかっただけでこんなになって。。私も驚いてるんです」とおっしゃられた後、僕に向かって

 

「なぁ!!」

 

と言うのでした。

 

 

何が「なぁ!!」なのかは分かりませんんが、さらに師長は

 

「どうせ壊れたんだし、トイレに入りやすいようにもっと広げれませんか?」

 

と、さらに入口を広げてもらっていました。

 

営繕の方にはバレバレでしたが、「はいはい、やったらええんでしょ!」と作業をして下さいました。

 

 

おじいさんは「ハッハー!!広なっとるわ!!」「これはええわ!!」と大喜びしながら作業を見ていました。

 

 

 

後日、師長に「なんぼトイレの入り口が狭いからいうて、ようあんなことしますわ」と言うと、師長は

 

 

「まあ、暇やったしな~」

 

 

と、煙草を吸いながら言うのでした。

 

 

 

 

 

 

 

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